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更新日:2018/2/1

「ダイナミックキャリブレーション」とは?(事例@)

今回は、ダイレクトマッピングによる画像補正を応用した技術を紹介します。その名も『ダイナミック・キャリブレーション』。
何が “ダイナミック” つまり “動的” か、と言うと、「撮影された画像の歪み」です。ここでは“歪みパターン”と呼ぶことにします。

通常のカメラキャリブレーション(おさらい)

通常の撮影では、「画像の歪みパターンが時間とともに変化しない」ことを前提に、カメラ校正用の画像を取得します。
具体的には、シート光の位置に対して奥行き方向の位置(z位置)をずらしながら数枚を撮影します。このようにして、撮影空間内の歪みパターンを認識します。これは、歪みパターンは経時変化しない、ということが前提とされているからです。経時的に流れは変わるけれども、画像のゆがみは変わらない、ということです。単純に画像を補正するためだけであれば、z=0の面だけを撮影すれば、補正することができます。(zを移動して複数枚を撮影するのは、ベクトルのステレオ再構築用に計測空間の奥行き情報が必要なためです。)

ダイナミック・キャリブレーションの考え方

一方、画像の歪みパターンが、経時的に変化することもあります。ここで紹介する『ダイナミック・キャリブレーション』は、「画像の歪みパターンが時間とともに変化する」場合に適用できる考え方です。通常は、カメラ校正用に撮影された画像には個々の “z位置” が与えられますが、この場合は、“z位置” ではなく “時間” になります。(その代わり、撮影できる断面は1箇所です。)時々刻々変化する歪みパターンに応じて、画像を補正することができます。

ダイレクトマッピングの原理的な単純さに着目した方法と言えます。

変数は “時間” に限定されるものではありません。何でも良いです。画像の歪みパターンを変化させるどんなものでも、変数になり得ます。たとえば、エンジンのクランク角度やピストンの位置、周辺温度や気圧など、何でも良いのです。

利用方法

ISCCやFtrPIVの逆投影画像生成機能では『逆投影先z[mm]』を指定できるようになっています。通常はゼロのまま特に指定を変更することはありませんが、ダイナミック・キャリブレーションでは、この『逆投影先z[mm]』を目的の変数に置き換えて使用します。

まとめ

  • 「歪みパターン」の奥行き方向への変化を任意の変数に置き換えて、「画像補正」に活用することができます。

ダイレクトマッピング技術の「画像補正」への応用事例として、大変有効なものであると言えるでしょう。


[ タグ ]
ダイナミックキャリブレーション/ダイレクトマッピング/位置変数の置き換え


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