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更新日:2018/1/26

座標系はどのように定義されていますか? 画像座標系と物理座標系の関係式は?

画像座標系

単純に画像の上の位置示すための座標系です。画像の左上隅画素の中心を原点(0,0)とし、右方向へX正、下方向へY正の向きで定義されます。
通常の画素位置を示すもの(整数値で表現されます)と似ていますが、FtrPIVでは実数値で表現されます。次の点にご注意ください。

画像座標系の原点

当然ですが忘れがちなこととして、画素は面積を持ちます。そのため1つの画素の内部も実数値で表現することができます。
FtrPIVにおける、画像の座標原点 ( 0, 0 ) は、画像の左上隅画素の中心です。ソフトウェアによって異なった定義がなされることがありますのでご注意ください。
言い換えれば、『“画素の中心”が整数値をもつ』ように定義しています。したがって、画像座標の原点は、画像の左上隅の端点ではありません。

したがって、画像の左上端点は (-0.5,-0.5) 、右下端点は (W-0.5,H-0.5) という座標となります。座標を表す数値が、1ではなく、ゼロから始まることにもお気を付けください。

物理座標系(ユーザ定義座標系)

物理座標系は、「参照点情報」と「スケーリングファクタ」により決定されます。画像の右方向へX正、上方向へY正、画面奥からこちらに向かってくる方向がZ正の向きです。皆様よくご存知の右手座標系です。決定要素である「参照点情報」と「スケーリングファクタ」はユーザが自由に設定することができます。つまり、この座標系はユーザが目的に合わせて設定できるものであり、ユーザが、最終的に解析結果として欲しい座標系を定義することができます。その意味で『ユーザ定義座標系』と呼んでも良いかもしれません。

  • Y正方向が画像座標系とは逆向きである点に注意してください!

参照点情報

画像上の任意の1点の座標[pixel]に対応する物理座標[mm]を指定します。

スケーリングファクタ

1画素の1辺に相当する物理的な長さを指定します。単位は、[mm/pixel]を用いています。
通常カメラで撮影される画像は画素の縦横比は1:1(正方形)なので、1つの値が縦横両方に対して使用されます。

ペア画像時間間隔冲

上記2つのパラメータが空間的な変換を規定するのに対して、冲は時間を与えます。画像座標系で得られる粒子の移動量に対して、その間の時間を規定することにより、画像上の移動量から、物理速度を計算できるようにします。この値は通常、レーザの発光間隔に相当します。

座標系の変換式

座標と粒子の移動量は、次のような関係式で記述できます。(y軸の正方向が反転することに注意してください。)

カメラパラメータ座標系

画像の歪み補正やステレオPIVを行う際には、カメラパラメータを作成・使用します。このカメラパラメータは、独自に定義される座標系を持っています。言い換えれば、『カメラパラメータが定義されている座標系』と言うべきものです。
カメラパラメータは、ある画像座標に対し、それに対応するなんらかの座標を与えて計算されます。ここで与えた座標の空間定義が『カメラパラメータ座標系』となります。
通常の実験では、実験環境の座標系をそのまま使用することが多いでしょう。さらに、その座標系をそのまま「物理座標系(ユーザ定義座標系)」として使用することも多いと思います。そのような利用方法が多いために、「カメラパラメータ座標系」と「物理座標系(ユーザ定義座標系)」は同じものであると誤解されていることがありますが、本来は別物です。
したがって、カメラパラメータを使用する「逆投影処理」では、「カメラパラメータ座標系」で[逆投影範囲]を指定する必要があるのです。「物理座標系(ユーザ定義座標系)」ではダメなのです。一方、FtrPIVの「ステレオ再構築処理」では、「カメラパラメータ座標系」を意識することはありません。それは、FtrPIVがそれらの変換を自動で行っているためです。

Columnステレオ再構築処理における座標系の変換

FtrPIVのステレオ再構築処理では、カメラパラメータファイルに書き込まれている「カメラパラメータ座標系」に関する情報を読み込みます。
粒子像の移動量は、その位置(座標)と共に、はじめ「画像座標系」で得られますが、それを「カメラパラメータ座標系」に変換してから[再構築処理]が行われます。再構築処理直後の移動量は「カメラパラメータ座標系」で表現されていますが、それをさらに「物理座標系(ユーザ定義座標系)」へ変換して出力しています。

Column「カメラ校正情報」の設定は必要?

FtrPIVやISCCでは、逆投影処理を行った時点で、使用されたカメラパラメータファイルに、その処理での逆投影範囲やスケーリングファクタが自動的に書き込まれるようになっています。つまり、「カメラパラメータ座標系」に関する情報を、カメラパラメータファイル自身に含めています。
そのため、ISCCを使ってカメラパラメータファイルを作り、通常通り逆投影処理を行えば、以降のカメラパラメータを使用する処理で、その座標系を意識する必要はありません(FtrPIVがやってくれます)。ユーザは、ステレオ解析であっても、2成分解析と同じように、「画像座標系」と「物理座標系(ユーザ定義座標系)」の2つだけを意識すれば良いようになっています。
ところが、一度も逆投影処理に使われていないカメラパラメータを、ステレオ再構築処理で使おうとする場合は、当該のカメラパラメータファイルには座標系情報が書き込まれていないので、それを指示してあげる必要が出てきます。「ステレオ再構築処理」のところに、必ず出てくる「カメラ校正情報」の設定欄は、そのために用意されているわけです。


[ タグ ]
FtrPIV/ISCC/画像座標系/物理座標系/ユーザ定義座標系/カメラパラメータ座標系/カメラ校正情報


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