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更新日:2018/2/1

1枚の画像の部分ごとに異なるカメラパラメータを適用することはできますか?

非常に強い歪みをもつ画像を相手にするとき、画像全体を1つのカメラパラメータで逆投影することが難しい(良好な結果が得られない)ことがあります。1枚の粒子画像に対して、異なる複数の領域に、それぞれ別個のカメラパラメータを適用できればいいですね。「第23稿 マルチキャリブレーション(その1)」では、適用したいカメラパラメータごとに逆投影画像を作成して、それらを後から1枚に結合する方法を紹介しました。最新のバージョン(ISCC Ver.3.0.10.4、FtrPIV Ver.3.1.18.6)では、もっと簡単な方法で実現できるようになりました。非常に単純かつ直観的で優れた方法です。

“マルチカメラパラメータ[.mcam]” を活用する。

マルチカメラパラメータ[.mcam]は、複数のカメラパラメータをその適用範囲ごとに定義したものです。通常のカメラパラメータ[.cam]と同じように扱うことができるようになっています。
まずは、このマルチカメラパラメータ[.mcam]を作るところから紹介します。

マルチカメラパラメータ[.mcam]の作成方法

準備として、1枚の画像に適用したい複数のカメラパラメータファイル[.cam]を用意します。領域指定ツールを使えば、その有効範囲内にある基準点(ナンバリングされているもの)のみからカメラパラメータを作ってくれるので簡単ですね。予め逆投影を施し、画像化される場所(逆投影範囲)を決めておくとよいでしょう。このとき、当然ですが、すべてのカメラパラメータに対する逆投影範囲は同じであるべきです!

Step1

メニュー[ツール]−[マルチカメラパラメータ定義]を選びます。

Step2

表示されるウィンドウのリスト内に、あらかじめ用意したカメラパラメータをDrag&Dropします。リストの上位にあるものほど優先的に適用されます(これ結構重要!)。並び順は、[追加][更新]ボタンの左側にあるスピンボタンを押して変更します。

Step3

個々のカメラパラメータに対して、有効(適用)範囲を設定します。指定値の単位は[mm]です。カメラ座標系で指定します(画像座標系ではありません!)。リストで編集対象を選択して、ウィンドウ下部の編集エリアで各値を指定後、[更新]ボタンを押します。複数のカメラパラメータで指定された有効範囲が重なっている場合は、優先順位(リストの並び順)が効いてきます。
どのカメラパラメータでも有効範囲が定義されていない画像領域は、黒で塗りつぶされます。黒で塗りつぶされることを避けたければ、どれか1つのカメラパラメータの有効範囲を、逆投影範囲全体に指定すればよいですね。
個々の範囲をより簡単に指定できるように[自動設定][逆投影範囲取得]ボタンが用意されています。これらはそれぞれ[逆投影]ページの[自動設定][設定値取得]と同じで、基準点のある範囲を自動的に取得したり、既に設定されている逆投影範囲を取得したりできます。

Step4

設定が終わったら[保存]します。ファイルの拡張子は[.mcam]です。

マルチカメラパラメータ[.mcam]の中身

保存されたファイルの中身をのぞいてみましょう。ただのCSVファイルであることがわかります。先頭の#行はコメント行扱いですね。

マルチカメラパラメータ[.mcam]の使用方法

マルチカメラパラメータ[.mcam]は、通常のカメラパラメータ[.cam]の使い方と同じです。[逆投影]ページの[カメラパラメータファイル]として指定し、通常通りの逆投影をするだけです。

マルチカメラパラメータ[.mcam]は、ステレオ再構築でも使えます。ほんとうに通常のカメラパラメータ[.cam]と同等に扱えるスグレモノですね。

マルチカメラパラメータを使って、いわば「マルチバックプロジェクション」「マルチリコンストラクション」が、とても簡単にできてしまいます。是非是非ご活用あれ!


[ タグ ]
ISCC/マルチキャリブレーション/マルチカメラパラメータ/超強歪画像


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