被写体の画像上での位置ズレを補正するツールです。“手振れ補正”と言ってもよいかも知れません。
画像は、実に様々な実験環境で撮影されます。カメラや被写体が振動する状態で行われる撮影もあります。このツールは、被写体の動きに合わせて画像をオフセットし、振動を軽減することができます。意外に “ありそうでなかった” 解析前処理ツールです。
振動する画像の実例を観てみましょう
このGIFアニメは、振動している様子がよく分かるように “Motion Compensator” という文字列を付けています。
補正前の画像(左)は、ペア画像ごとに文字列が移動しているのが分かります。補正後(右)は文字列が同じ位置に修正されています。
画像の特定箇所の移動先を探索し、その移動量の分だけ画像全体をオフセットします。
まず、連続する画像の中で「基準」となる画像を定めます。その画像に「検査窓」を設置します。“場所” も “大きさ” も “探索範囲” も自由に、いくつでも設置できます。この「検査窓」が振動を補正するための鍵となる領域です。処理の様子を紹介しましょう。
この例では、最初のペアの1st画像が「基準」として選ばれています。この基準画像に書き込まれている “Motion Compensator” という文字列に掛かるように、黄色の矩形が描かれています。これが、今回この処理で定義した「検査窓」です。一方、ほかのペアには、青色の矩形が同じように示されていますが、これらは「検査窓」の “移動先” として、プログラムが推定した位置を示しています。
PIV用のペア画像構成に対応している点が最大の特徴です。かゆい所に手の届くたいへんシンプルなツールです。またGUIも直感的なので簡単に使えると思います。
少し違和感があるかもしれません。つまり、『PIVの計算で、第1−第2画像間の移動を補正したら、速度が分からなくなってしまうではないか!』ということです。
確かに、粒子像を「検査窓」として設定したらそのようになってしまいます。お気をつけください。この場合「検査窓」が設置される場所は、粒子像のある領域ではありません!
このようにすることで、第1−第2画像間の振動を低減し、より正確な移動先推定が行えるようになります。
Column計算されたベクトル場がおかしい原因は “振動“ かもしれません。
PIV解析で得られた「ベクトル場がどうもおかしい」、「もう少しきれいな結果が得られるはずだ」などといったお悩みを耳にすることがあります。画質も冲もOK。その他の設定も問題なし。原因追求が非常に難しいケースです。最後に疑われるのが “画像の振動” です。このようなケースでは、このツールは「最終兵器」として絶大な威力を発揮します。